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火野蕪(カナカブ)のこと

   「カナカブ」ってご存知ですか?
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 由利地方には、江戸時代から伝わるという幻の漬物「カナカブ漬け」があります。なぜ「幻」かというと…漬物づくりのレシピは昔から基本的には秘密で「例え嫁でも教えない」と、頑なに守られ続けてきたからです。

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     ◆百彩館での「由利の伝統野菜フェア」
火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_15552451.jpg まず、にかほ市で「由利の伝統野菜フェア」が開催されているとの情報を聞きつけ、朝一に直売所「百彩館」へ向かいました。この陳列棚!すべて郷土の漬物たちで埋め尽くされています。フェアーが終わっても、しばらくは販売予定とのことなので(←品切れ注意!)、興味のある方はのぞいてみてくださいね。

火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_15555038.jpg もちろん、カナカブ漬けの試食販売もしていました。葉がなく皮があり、白い印象のカナカブ漬けが、にかほ流です(茎が付いて皮がむかれ、浅漬けになっているのは由利流です)。試食があるので、色々食べ比べてみてください。さすが秘伝、作る人によって味付けのさじ加減が変わっていて面白いです。

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     ◆そこには、理由があります。
火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_1557151.jpg このカナカブ、焼畑農法という、常に危険を伴う農法で作られています。どのくらい危険かといいますと…「消防の許可・監視のもと山の傾斜地に火を放ち雑草害虫を駆除し、灰汁を肥料として自然の力で育て上げる。」。これだけでも通常の(減反休耕田の)転作畑に比べると、きつい作業のように思います。が、その焼畑は7月下旬の夏真っ盛りに汗だくになって行い、しかも薮(やぶ)倒し・人力による鍬打ちなど、非常に手間のかかる作業が待っているので、並々ならぬ努力と労力をかけた、野菜自体が貴重なのものなのです。
 
 とはいえ、この漬物が今日まで脈々と伝えられてきたことを考えると、代々嫁(もしくはその漬物に惚れ込んだ人)は、これを食べることで研究し、自分なりの味を工夫してきたのではないでしょうか。

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     ◆さっそく、収穫体験!
 今回は伝統的な焼畑農法によるカナカブの栽培を行っている大竹集落にお邪魔し、収穫体験の様子を取材させていただきました。そして何と、秘伝の漬物づくりの配合を参加者のみが教えてもらえるという好機にも恵まれました。

火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_15582526.jpg 大竹集落にある管理センターから、近くのカナカブ畑へと移動。朝から強い雨にもかかわらず、精を出す参加者たち。几帳面な人の畑は生育が良いということで、手入れの大切さが窺われます。 
 通常見かけるカブよりも土に入っていて、まるで大根のような巨大なものもありましたが、サイズは大きすぎると芯があって固く、小さすぎても漬物には向かず、およそ根長15cmに伸びたものがちょうど良いみたいです。よどぎみも収穫に参加させていただきました。あまり力まずとも「スポッ」と抜ける感覚が小気味良いです。

火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_1601483.jpg 「大竹カナカブ会」代表の佐藤金矢さんは、今回行われた収穫体験の責任者。手慣れた様子でカナカブを地面から引っこ抜いていました。「今っころのが辛みきいて一番うまい。でも雪1回でもかぶったのは甘味出で、おろしさもなるな。煮る場合だば2回さ分げればんめ」と…そんなに部外者に教えちゃって大丈夫なんですか?(汗)という程、気さくに話して下さいました。

火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_1614361.jpg 茎はその場(畑)で切って、袋に詰めてセンターの小屋へと運びます。丁寧に泥を洗い流し、さらにたわしでゴシゴシと磨きあげます。主に大竹地区で食べられているカナカブ漬けは、いわゆる「甘酢漬け」です。酢漬けなので黒くなるのを防ぐため、皮はむかずに茎の部分を取ってじっくり漬けこみます。が、その配合は、ここでは秘密です(よどぎみはちゃんと耳をかっぽじって聞きましたよ(←得意げ)。でもカナカブを栽培してなきゃ漬ける機会もないか…)。
 
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     ◆集落の人との交流
火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_16172569.jpg お昼は、大竹のお母さんたちが腕によりをかけた郷土料理をいただきました。

火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_163172.jpg 若干緊張気味で座敷に上がる我ら一行に、「あばだ~!」と、お母さん達を呼ぶ佐藤さん。お、お嬢さん達ですよ・・・。続けて「カブには3種類あるんだ。普通の丸いカブに、カナカブみだぐ長いカブ。あと、ひざかぶ」と、絶妙な間合い。さらに、他部落からの参加者には「馬場だどが横根どがってにかほの本場の母さんがだ来るってばよ、何だがさぐりだが?って思ってしまった(笑)」と、ユニークなトークセンスの佐藤さんに、会場一同大爆笑!大竹の人達は昔から努力家だと聞きます。常に頭をフルに使っているから、こんな楽しい会話もできるのかも?

 漬物づくりの話で盛り上がり、ヤーコンなど地場産野菜の料理方法などにも花が咲き、よどぎみも、もう一人前に作れる♪ような錯覚に陥りました…。この、人と人との交流がまさに「グリーン・ツーリズムの醍醐味」なんだなと思いました。

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…おまけ①…
火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_1635457.jpg 傍には、地域特産のいちじくの木が、たわわに実をしならせており、佐々木さんが幾つかもいでお土産に持たせて下さいました。
…おまけ②…
火野蕪(カナカブ)のこと_c0214156_1643245.jpg 昼食ではかぼちゃのがっこが出され、皆さん珍しそうに食べていましたが、これがそのかぼちゃ。「コリンキー」という品種だそうです。このまま生でサラダにしてもおいしいのだそう。

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                      県央担当 よどぎみでした。
 
by akitagt | 2009-11-18 15:49 | 県央情報
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